書籍『炭都夕張の約束』の出版
このたび(2026年9月)、産炭地研究会のメンバー4人および水島久光先生(東海大学)、青木隆夫氏(元夕張石炭博物館長)の共著として、寿郎社より標記の書籍を出版しました。詳細は版元のページをご覧ください。

推薦のお言葉
本書に対して、学会や石炭産業の関係者より、以下のような推薦のお言葉をいただいております。本当にありがとうございます。なお、ホームページへの掲載について許可を頂いたものについてのみ、掲載しております。
複数の専門分野の知見を、明確な問題意識と分析枠組みのもとに統合することで、夕張の70年にわたる経験と歴史が克明に描き出されており、地域社会学・歴史社会学のひとつの理想的なかたちを示す著作であると拝読いたしました。また、著者の皆様が長年にわたり一貫して取り組んでこられた共同研究の成果として、社会学的研究の学術的貢献と社会還元のあり方を示す、ひとつの里程標となる一冊であると存じます。
中川宗人(青森公立大学)
夕張に倣って炭鉱から観光へと動き、夕張に先んじてそれに挫折した大牟田在住者にとっては、他人事に思えない労作でした。お送りいただきありがとうございます。夕張の経験は、これから国全体が衰退に向かう中で、夢に踊らされずにいるための参考になるのかもしれません。
中野浩志(大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブ)
夕張の財政破綻に至るまでの詳細が丁寧に明かされ、貴重な歴史書となっています。産業の変動と、そこに巻き込まれた人々の生活が、語りや写真、メディアなどから多層的に浮かび上がってきます。
西野理子(東洋大学社会学部)
よく練られた研究の成果公開で非常に興味深く拝読しました。 研究目的・仮説妥当性・方法論を含む作業方針を著者間で明確にしたうえ、よく相談しながら章立・枠組検討・執筆・編集が行われた労作であることは明白です。
タイトルを拝見して約束が何を指すのか興味を持ちましたが、飛翔の約束(p.26, 75, 86, 290-)、再起の約束(p.26, 120, 202, 290-)、回生の約束(p.27, 226-, 290-)、近代的炭鉱での豊かな生活(の約束、p. 87)、示されては裏切られる約束(p.182)、夕張「自立」の約束(p.299)、研究者の約束(p.299)、約束の地(p.185)、中田市政の約束(p.226-)、炭都夕張の約束(p.290)と続く重要なキーワードであることがよく理解できました。
図表・写真・年表・索引の充実もご高著の特色です。例えば原データに制約のある図8-3(p.238)、膨大な情報からご高著および想定読者に特化した年表(p.321-337)等は、大変な労力と時間を費やしての新規作成と拝察します。これらを通して、塗り重ねられたイメージを剥がし(p.31)に成功し、最終到達点(p.229)へ至ったのは誠に喜ばしく思います。今後の更なる研究展開を願っています。
私は中国の石炭産業について研究しているのですが、依然として世界の石炭生産量の過半を生産している中国も2030年以降、脱炭素対応で急速に石炭生産量が減少していくことが見込まれます。そのため中国の石炭産業の「公正な移行」という観点でどのように社会経済的なインパクトを抑えて進めていけるか、喫緊の課題となっております。本書は日本のエネルギー革命時の産炭地の状況をミクロ視点から詳細に分析しており、時代と国は違えど中国の今後の「公正な移行」を考える上で様々な示唆を与えてくれる良書だと思います。
堀井伸浩(九州大学)
日本産業史にとって貴重な文献が誕生しました。皆様のご努力に敬意を表します。
原彬久
石炭政策。北炭、三菱の対応の比較。翻弄される地域 ?夕張市と、夕張市の70年が詳述されており、借金返済後の地域の行く末も見守りたい。
奥山道紀
炭鉱で生きた人々を、その生活や家族との関連で総合的に論じられている点で、大変意義深く感じました。
山下亜紀子(九州大学)
学術的にも社会的にも貴重な研究書籍の刊行をお祝い申し上げます。時代の変化によって産業も変化し、街も人も変わりますが、それらについての再考察は重要であり、普遍的な課題をご提示されていると思います。
金敬黙(早稲田大学)
夕張は課題先進国と言われる日本の課題先進地だと思います。夕張が経験した苦難はこれからの日本で例外的なものではありません。その経験を多面的に解明されたご研究に敬意を表します。
市原博(獨協大学)
ご著書では夕張の70年の変遷が多面的かつ詳細に描かれており、これから詳しく拝読させていただきます。特に個人的な研究関心と関連して、第8章(中澤秀雄先生)が非常に勉強になりました。夕張市が自治体としてどのように再興・存続しようとしたのかという点は、現在脱炭素化等の動きから炭鉱閉山が進められている中国やインドネシアなどにとって、夕張市の経験したトランジションの(苦い)経験は炭鉱の町からの移行をどう実現できるのかを考えるうえで非常に参考になると存じます。特に国策に左右されながらも、地域の実情をよく理解する自治体の移行期の役割は重要かと思います。
佐々木晶子(JETROアジア経済研究所)
石炭産業が衰退しつつあった1950年代半ば,石炭鉱業合理化政策のもとでビルドアップを進めた「炭都」夕張が,新鉱開発から閉山に至るまで何を経験したのかを,そこに関わった人びと,企業,行政それぞれの立場から見つめ直した,大変興味深い文献でした。片岡佳美(島根大学)
著者の皆さん それぞれの担当項目について実に広範囲に亘つて、詳細に調査・研究されて見事にまとめ上げられました。炭都としての夕頭の終結までの、炭鉱会社のその時々の方針設定や、現場で働く労働者の皆さんの先行きの心配心、又家族の方々の不安な気持ち等を想像すると。胸を締め付けられるような気持ちになります。
杉山範雄(北海道釧路市在住)
まさに「仮借なき探究」で、戦後日本社会の「埋もれた記録を発掘し、忘れられた(あるいは廃棄された)歴史を復活させる(reviving)」(サイード)であると、あらためて受けとめています。
新原道信(中央大学)
戦後の夕張がたどった70年の道のりが各局面ごとに精緻に跡づけられて、6名の「探偵」たちによる筆致がこわいくらいでした。とりわけ「第8章 資本撤退と中田市政の「約束」」の書きぶりが抉るように苛烈。しかし厳しさを押し通した末の同章結語では、なぜだか感情を揺さぶられて、思わず涙ぐみそうになりました。炭都夕張という北海道の一地方の特殊な成り立ちに記述を絞った本書なのに、沈みゆく国家ニッポンの来し方行く末を勝手に重ね合わせて、私は読み進めていたのかもしれません。
川島直樹(古書かわしま)